モビリティウィーク2022海外視察miniレポート

今年のモビリティウィークは、世界2,989都市が参加しました。くわしはこちら→https://mobilityweek.eu/home/

日本国内では、全国7都市が参加しました。今年も、コロナ渦ではありましたが、個人の健康から、まちづくり、地球環境まで幅広いテーマを通して、持続可能な移動とはなにかを市民のみなさんが考え、体験、共有する機会となりました。

さて、モビリティウィークが日本ではじまってから約20年が経ちますが、その間、事務局では、参加する自治体や市民団体のみなさんと協働するだけでなく、関心のある若い学生さんたちとも、交流してきました。

この数年も、カーフリーデーに関心をもち、大学でカーフリーデーの展示までやってくれた学生さん(東工大4年 山田竜也さん)がいます。

山田さんは、今年、カーフリーデーを体験すべく、欧州までいってきました!事前に入念にカーフリーデーイベントを調べ、現地でも、果敢に、担当者をみつけては、インタビューを行ってきました。

先日、帰国後に、事務局まで報告にきてくれましたので、そのうちのいくつかをこちらにご紹介します。自分で実際に見て聞いて感じることは、とても大切なことであり、交通政策やまちづくりには欠かせないことです。事務局では、将来を担う学生さんをこれからも応援していきます。興味がある方は、ぜひ、ご連絡ください。

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カールスローエ(ドイツ)

9/16(金)カーフリーデー開催。会場は、もともとトラムが走行していた道路で、カーフリーデーでは、歩行者とトラムが共存していました。いまでは、トラムは地下化され、歩行者や自転車、警察や消防車両、商店の車両のみが通行できます。スタッフにきいてみると、トラムが地下化されたことで、歩きやすく花を置けたりして景観もよくなったとのこと。カーフリーエリアは、道路2本だけでしたが、これ以上、広げるつもりはないそうです。トラムと歩行者がうまく共存しているストラスブールを見た後だったので、違和感がありましたが、この道路は人通りが多すぎて、トラムがないほうが確かに安全に見えました。カーフリーデーは事前に市のHPで告知されていましたが、実際はそれより小規模で実施されていました。

パリ(フランス)

カーフリーエリアは事前にHPで確認できました。シャンゼリゼ通り、1~4区、その他の地区など様々な地区で自家用車を制限していました。

シャンゼリゼ通りは店舗も開いていて人通りも多かったです。馬車のレースが通るときを除いて車道を歩くことができました。1,2区のエリアでは日曜日であったこともあり大体の店は閉まっていたが、人通りは多く、開いている店舗は混雑していました。タクシーやバイクは走行するため車道を歩くことはできないですが、エリア外と比べて交通量はかなり少なかったです。監視員が立っていない細い道路から流入する自家用車もいましたが、要所の交差点を抑えているので交通量は少なく抑えられていました。それより北側のカーフリー地区では店が閉まっており人通りもそこまで多くなかったです。

パリでは、スタッフの方をみつけることができず、インタビューはできませんでした。

リヨン(フランス)

リヨンでは、市のHPに、カーフリーエリアの地図と全ての通りの名前が記載されていました。川に挟まれた中心街の1,2区や他の地区が対象でした。フードコーナー、花屋のエリア、モビリティ展示など複数のブース会場があり、人々が回遊するように誘導している気がしました。また、店舗でセールも開催していました。他都市のカーフリーデーではみられませんでしたが、路上にカーフリーデーのポスター(La voie est libre「道路は自由だ!」)が貼ってありました。スタッフにきいてみたところ、カーフリーデーは、人々がダイナミックに動くことを目的としていて、カーフリーエリアを広げるのも今後検討中だとか。地元のお店に出店してもらっているが、協力してもらえていないところもあるのが、課題だそうです。それには、カーフリーデーが日曜だったという理由も大きく、フランスの商店は週休2日制で、日曜と月曜は基本お休みのようです。日曜日は教会へ行く名残で家族と過ごす日という認識が強いそうです。一方で、カーフリーデーを開催するには、通勤に影響しないように、日曜日に開催しているのではと考えられます。

まとめ

カーフリーデーは歩行者天国の快適性を市民に実感してもらうイベント。自転車や公共交通の利用を啓発することも大事だが、フードコーナーなどのイベントと併せて行うことで来場者を増やし、より多くの市民に地元の歩行者天国を体感してもらうことも大切に思えました。市民の方と話せなかったのですが、カーフリーデー(La voie est libre)に参加することが目的、というよりかは、「お祭りがあるから行ってみる」みたいな人が多い印象でした。また、フランスでは自治体の首長が道路の利用を決めるため、カーフリーデーでも警察との折衝が楽なのかもしれないです。

このほか、イギリスやスイスにも足を延ばし、交通政策を現地でみたり、欧州にいらっしゃる交通や環境の専門家、ヴァンソン藤井由美さんや滝川薫さんにお会いし、欧州での交通政策についてお話を伺うことができ、とても実りの多い経験をしました。今後にいかしていきたいと思います。

東京工業大学電気電子系4年 山田竜也さん